英語は1年でマスターできる
著:三木雄伸
もくじ
はじめに
海外経験0。
社会人になって英語勉強を1年。
これで英語をマスターできた。
しかも努力が苦手。
天才でもない。
そんな自分が何故できたのか。
孫正義の秘書をしており、海外に同行する機会があった。
全く英語ができない自分を見て、孫社長の失望の顔を見た。
「このままでは、ヤバイ。クビになる。」
そう思った自分は、
「交渉で負けない英語力を一年で絶対身につける」
このように強く決意した。
→悔しい経験から強い決意
そして、心強かったことは、
目の前で孫社長が英語で交渉していたが、
決して流暢とは言えなかった。
でも、ゆっくりで聞き取りやすい。
それでも交渉を成立させていた。
このことから、
①流暢に話せる必要はない
②限られた表現を覚えればいい
これなら自分でもできるかもしれない。
→実際に現場を見て、必要な英語力を肌で感じ、これならいけると思えたこと
しかし、当時はソフトバンクの色々なプロジェクトを抱えて
一分一秒も無駄にはできない状態だった。
「目標達成するために必要のない勉強はしない」
このようにわりきることにした。
1年でマスターできる人、いくら勉強してもできない人
社会人の人で英語がマスターできないのは
以下の7点が原因と考えられます。
①英語を勉強する目的があいまい
漠然とした目標の人が多い。
ex)日常会話なのか、一人で世界一周できるようになりたいのか等
まずは、「英語を身につけてどうしたいか」という具体的な目標を立てること
具体化することで、それに合った最適な学習法がわかる。
目的につながらない学習は捨てると割り切れる。
②「ビジネス英語」は日常会話より難しいと思っている
日常会話は様々なジャンルがあるため大変。
まずは学ぶ範囲が限定されているビジネス会話を学ぶことが大事。
③いろいろな教材をつまみ食いしすぎる
三木氏が使ったテキスト教材は、
英語の交渉に使われるフレーズをまとめた薄い本一冊のみ。
ヒアリング教材は、映画『ウォール街』だけ。
基本的に毎日この2つだけを徹底的に勉強し続けた。
④インプットばかりでアウトプットの練習が不足
使える英語を身につけるのが少ないのは、
圧倒的にアウトプットの量が不足しているから。
英語のアウトプットは筋力と同じで、意識的に鍛えないと向上しない。
インプットとアウトプットをバランスよくしないと
使える英語にはならない。
学習計画を立てるときも、
「まずアウトプットのトレーニング予定をたて、
それに合わせてインプットの予定を組む」
下手だからこそアウトプットをしまくるべき。
実践しながらアウトプットしてマスターする。
⑤「正しい英語で話す」ことを目標にしている
世界で英語を話す人の大半は「非ネイティブ」
2012年時の約70億人の人口のうち、
17.5億人(25%)が英語人口。
その英語人口のうち、
ネイティブが3.39億人(22%)
非ネイティブが13.6億人(78%)
そこまで正しい発音を気にする必要はない。
⑥「海外留学しないとマスターできない」と思っている
現在は様々なテクノロジーが発達している為、
日本にいながら”英語漬けの毎日”を送ることは可能。
⑦「長期間勉強しないとマスターできない」と思っている
特に急ぐ理由がなくても、英語の勉強は絶対に短期集中でやるべき
具体的には、「一年」でマスターが基本です。
なぜなら人間のモチベーションは長く続かないから。
勉強には集中力が必要。
目標に向かって取り組むからこそ急速な向上がある。
勉強を一日3時間1年続けるのと、
一日30分を6年続けるのではトータルの学習時間はほぼ同じ。
ただ、6年も同じように意欲をもって続けられるかといくとそうではない。
それに一日30分ではほとんど気休め程度。
こうすれば1年でマスターできる①戦略編
何を勉強し、何を勉強しないか
忙しい社会人が1年で英語をマスターするために
やっておくべきことは「戦略を立てる」こと。
「戦略」とは「戦いを略すこと」
つまり、どこに注力し、どこで手を抜くかを見極め
最短最速でゴールへ到達するための方法を考えるということ。
英語学習においても全く同じ。
「何を勉強し、何を勉強しないか」
これを最初に見極めることが非常に重要。
戦略①「自分に必要なのはどんな英語か」をまず明確にする
「何のために英語を勉強するのか?」
英語の学習戦略を練るとき、もっとも重要なことは
「英語を勉強する目的」をまず明確にすること。
英語はあくまで何かの為の道具でしかない。
ではその道具を使って何をするのか。
戦略②スピーキングとヒアリングを集中的に鍛える
「書く」「読む」「聞く」「話す」の英語力の基本のうち
日本人は「聞く」「話す」が苦手である。
ここに注力することが大事。
戦略③単語は勉強しない。これ以上単語力アップは不要。
高校生の頃に覚えた英単語で十分通じる。
戦略④言いたいこと一つにつき、覚える言い回しは一つだけ
テキストには色々な言い回しがあるが、
自分が覚えやすいものを一つ覚えるだけでよい。
戦略⑤文法も勉強しない。
もう一つやらないものは、文法。
どうしても心配なら中学のテキストを一度見返す。
一つ注意したいことは、
可算名詞と不加算名刺の違い。
ネイティブはこれを間違えると違和感を覚えるらしい。
「apple」だと1個2個と数えられるから加算名詞、
「water」は液体で数えられないから不加算名詞
でも「cake」はどうでしょうか。
丸ごとのホールケーキならば加算名詞となり、「three cakes」と「s」がつく。
しかし、ホールを切り分けたものは無形と見なされ不加算名詞となり、
「three pieces of cake」と「s」がつかない。
また、「私はケーキが好きです」は「I like cake」となり
冠詞の「a」も複数形の「s」もつかない。
日本人には非常にややこしいのだが、ネイティブはこれを感覚的に理解している。
数え方の時は注意が必要。
戦略⑥日常会話やスモールトークは後回し
仕事でつかえる英語をマスターしたいなら、日常会話などは後回し。
ビジネスにおいて最も重要なのは、仕事で成果を出すこと。
英語で勉強をするのがそのためなら、それ以外のことはやらないこと。
戦略⑦発音はあきらめる
正しい発音、きれいな発音で話すことはあきらめる
こうすれば、1年でマスターできる②戦術編
モチベーション維持と習慣化のコツ
忙しい社会人にとっていかにモチベーションを維持するかは重要テーマ。
やる気を維持し、勉強を習慣化するには、仕組みつくりがミソ。
戦術①1年後の飛行機チケットを予約せよ
まず1年後のゴール設定をする。
学習計画を立てる際にまずやるべきことは、ゴールセッティング。
「1年後に英語で〇〇する」という具体的な目標を決めること。
「いつかは英語が使えるようになりたいな」と思っているうちは
絶対にしゃべれない。
1年後のチケットを机の前に張り出しておけば、
嫌でもやらざるを得ない。
戦術②1年で1000時間やれば、必ず聞ける話せるようになる
「日本語脳」から「英語脳」に切り替えるには
一般的に1000時間のトレーニングが必要と言われる。
アメリカ国防省には「Foreign Service Institute」という語学研修機関がある。
アメリカ人が外国語を習得するための機関で、
アメリカ人が外国語を習得するのにどれくらい時間がかかるか等を公表している。
Lv1.スペイン語やフランス語(570~600時間)
Lv3.マレーシア語やスワヒリ語(900時間)
Lv4.ペルシア語やタガログ語(1100時間)
Lv5.日本語(2200時間)
日本語はネイティブスピーカーにとっては最も難しい言語。
逆に言うと、日本人も同じくらいの時間がかかるということ。
日本の英語教育では身につかないと言われるが、
そもそも圧倒的量が足りていないということになる。
2200時間と聞いて気が遠くなったかもしれないが、
中学・高校で900時間、塾など含めると1000時間はゆうに超える。
つまり半分は勉強しているので、残り1000時間やるというのは
客観的に見て間違っていないと考えられる。
総学習時間がわかったら、それを1年でこなす計画を立てる。
1年は約50週なので、
1週間で約20時間。
1日約3時間の勉強の計算となる。
戦術③ポイントはやはり朝の時間の活用
仕事を持つ社会人が、いかに時間を確保するか。
「朝時間+通勤時間」を軸にスケジュールを組み立てるのが良い。
戦術④1週間の中で帳尻を合わせる。土曜日は調整日、日曜日は休み
学習スケジュールを組む際は、できるだけ同じスケジュールで過ごす。
一日3時間という学習目標を決めつつ、
平日でこなせなかったら土曜日で追いつくという意識が大事。
もう一つ大事なルール。
「一つのことを学んだら、それを繰り返し学習できるようなサイクルをつくる」
前日勉強したことを、翌朝に復習する。
戦術⑤アウトプットの時間を、最優先で確保・固定する
アウトプットの練習はわざわざつくらないとできない。
「アウトプットに向けてインプットの練習をする」というサイクルが大事。
ex)毎朝英会話のレッスンがある
前日までに言い回しを考えたり覚えたりする
戦術⑥「いつでもどこでも勉強できる」というものは避ける
人間は弱い生き物なので、いつでもできると思うとやらなくなる
この時間とこの場所でなければできないという縛りが必要。
日時が固定されている方が、確実に習慣化できる。
戦術⑦「勉強仲間」はモチベーション維持に不可欠
同じような仲間がいるとモチベーションが非常に上がる。
また、悩みを相談したり情報交換したりできる。
学習ジャンル別・最短最速のトレーニング法
●ヒアリング
BGMのように浴びるように聞いても理解はできない。
日本人はある程度知識として英語が入っているので
それと結びつけながら覚える方がはるかに効率的である。
日本人が英語を聞き取れない主な理由は、
1.子音が聞き取れないこと
2.英語のリズムをつかめないこと
解決策は、「音とスペルを結びつける作業を徹底的に繰り返す」
音声を聞いたら正しく聞き取れたか、テキストを確認し、また音声で聞く。
これを何度も繰り返すだけ。すると耳から入ってくる音とスペルが頭で紐づけられる。
ヒアリングは単に聞くことではなく、
「聞こえてきた英語を理解すること」がヒアリングする目的。
教材は一つに絞る!!
おすすめは好きな映画を一本
ヒアリングは「インプットは大量に、ただし教材は少数で」
ヒアリングはテキストが必須。
音を聞きながらテキストを見ること。
もう一つは、シャドーイング。
耳から聞こえたことをシャドーのように遅れて話す。
●スピーキング
まずは教材を一つに絞る。
それを徹底して暗記するまで覚える。
そうやって言い回しをマスターしていく。
この教材選びが重要。
実際に自分の目的に近いものを選ぶ。
(英語で交渉ができるようになるためだったらそのようなもの)
実際にイメージして感情をもつことがかなり有効的になる。
発音は捨てて、発生とリズムにこだわる。
発生とは、①意識的に声を低くする
②のどの奥を震わせて話す
→後舌が英語には多いのでざっくりこのように表現している
アウトプットの場としてディスかションするようなスクールはおすすめ
もう一つ、自宅の電話で受験が可能な「ヴァーサント」もおすすめ
これは自宅で24時間365日いつでも受験可能なオンラインテスト。
これで自分のスピーキング力をチェックできる。(1回5000円程度の受験料)
スピーキングについて、重要なことを最後に一つ
それは、結論から話すということ。
ロジカルに結論から話す習慣が非常に大事。
英語は結論から話す構造になっている。
感想
最近は素晴らしい英語教材を取り組むより
いかに効率的な英語学習のスケジュールを実行できるか
というマネジメントに光が当たっている気がする。
この本はそれの先駆けというところか。
具体的に効果のあるこを徹底してスケジュール化し
それをこなしていく。
ビジネスの世界でも同じことがいえると思うが、
それを英語学習にも応用した形だろう。
これは他の分野でもいえることではないだろうか。
Webエンジニアになるにも、一定量の時間を
スケジュール化して取り組むことができれば
成果は絶対に出る。
今回この本で学習したことを、
自分のスケジュールに落とし込んで実践してみよう。
なんにせよ、やみくもではなく、しっかりスケジュールを立てること。
これが大事。